腹痛|Abdominal Pain
― 「なんとなく胃腸炎」から卒業するための、診断アプローチの地図 ―
外来や救急で、腹痛は毎日のように出会います。
でも同時に、腹痛は「診断の落とし穴」も「診断センスを鍛えるチャンス」も詰まった症候です。
このページでは、腹痛を “6つの部位” で整理しながら、
重症度の見極め → 鑑別の組み立て → 問診・身体診察・検査/画像を、目的別に最短ルートで確認できるようにまとめます。
✅ この記事でできること
- 6領域(RUQ/LUQ/Epigastrium/RLQ/LLQ/Suprapubic)で鑑別を整理する
- Red flags(バイタル異常・妊娠・腹膜刺激など)から緊急疾患を見逃さない
- 身体診察を「確率更新(LR)」として使う(McGeeベース)
- CTで虫垂を探すための再現性ある読影ルールを身につける
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- 🩺 すぐ使いたい人へ|OSCE・外来・当直前
- 🧠 ちゃんと理解したい人へ|総合内科・病態でつなぐ
- 📊 EBMで攻めたい人へ|問診・身体診察・POCUSを「確率」で使う
- 🖼 画像で勝つ|CT読影(虫垂)とPOCUSの型
- 🌍 英語で扱いたい人へ|Clinical English / USMLE / OET
- 🔗 関連記事リンク
- 📌 Reference
🩺 すぐ使いたい人へ|OSCE・外来・当直前
最初の3つ:
① 重症度(ショック/敗血症/腹膜炎を見逃さない)
② 妊娠(妊娠可能年齢はまず除外)
③ 部位(6領域で責任臓器を推定)
- Red flags:バイタル異常、意識障害、持続嘔吐、黒色便/血便、腹膜刺激症状、突然の激痛、免疫不全、高齢者、妊娠可能性など
- 初期検査セット:CBC / CRP / 電解質・腎肝機能 / 尿検査 / 妊娠反応(必要時)
- 初期画像:POCUS(胆嚢・水腎症・腹水)→必要時CTへ
🧠 ちゃんと理解したい人へ|総合内科・病態でつなぐ
- visceral / parietal / referred painを区別すると、放散や局在の意味が見える
- 疝痛(結石・閉塞) / 持続痛(炎症・虚血) / 体動で増悪(腹膜刺激)など、痛みの性質は病態のサイン
- 年齢・性差で「頻度」と「危険度」が変わる(高齢者・妊娠可能年齢は別ゲーム)
📊 EBMで攻めたい人へ|問診・身体診察・POCUSを「確率」で使う
腹痛は「病名当て」ではなく、事前確率→事後確率を更新する作業です。
ここでは McGee を主軸に、数字がある所見を中心に整理します。
例:虫垂炎(Appendicitis)で“確率を動かす”所見
- McBurney point tenderness:LR+ 3.4 / LR− 0.4
- Rovsing sign:LR+ 2.3 / LR− 0.8
- Psoas sign:LR+ 2.0
- RLQ圧痛がない:虫垂炎の確率を下げる(rule-out方向)
ポイント:
「陽性なら決め手」だけでなく、“陰性ならどれだけ下がるか(LR−)を意識すると、診断が速く安全になります。
👉 腹痛を「確率」で診る|EBMで学ぶ問診・身体診察・POCUS(下層記事)
🖼 画像で勝つ|CT読影(虫垂)とPOCUSの型
CTで虫垂を探す:再現性ルール(型)
- 盲腸を見つける(ガス・内容物・回盲弁周辺)
- 盲腸の後内側を追う(虫垂は“盲腸から出る管”)
- 終末回腸と回盲部をセットで見る(pseudo-appendicitisも意識)
- 周囲脂肪織濃度上昇・壁肥厚・径増大・糞石をチェック
POCUSでまず拾う(救急の即戦力)
- 胆嚢(壁肥厚・胆石・sonographic Murphy)
- 水腎症(尿管結石を疑う)
- 腹水(出血・炎症・穿刺可能な貯留)
🌍 英語で扱いたい人へ|Clinical English / USMLE / OET
- Clinical English:腹痛の問診・患者説明・鑑別の言い回し
- USMLE high-yield:急性腹症・画像・外科コンサルトの典型
- OET:安全確認→説明→次のステップ、のテンプレ
👉 Abdominal Pain in Clinical English – USMLE High-Yield & OET Practice
🔗 関連記事リンク
📌 Reference
- McGee. Evidence-based physical diagnosis(腹痛・虫垂炎の身体所見、LR)
- Harrison’s Principles of Internal Medicine(腹痛に関連する消化器・内科鑑別)
- Murtagh’s General Practice(プライマリケアでの腹痛の考え方・落とし穴)
🗓 最終更新日:2026年1月1日
✍️ 編集メモ:旧記事を土台に、OSCE・外来・総合内科・EBM(McGee)・画像(CT/POCUS)・英語学習の導線が最短になるよう再構成しました!
