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🌀 めまい(Dizziness)の診かた

ふわふわ?ぐるぐる?気が遠くなる?
—「めまい」と一言で言っても、背景はさまざま。あなたは見抜けますか?


📌 この記事で学べること

  • Step-by-stepで整理する「めまい」診療の基本
  • 前失神をどう見抜くか、そして除外するか
  • よくある疾患への伝え方と対応のコツ

🚪 導入症例

「朝からなんだかフワフワして、立ち上がるとふらつきます」
60代の女性が不安げに外来を訪れました。
血圧は少し低めですが、意識ははっきりしています。


🏁 Step 1:まず除外すべきは「前失神」

「めまい」という主訴で最初に考えるべきは、意識消失の前兆=前失神(presyncope)です。
なぜなら、致死的な不整脈や低血糖などが隠れていることがあるから。

  • EKG(心電図):まず取る!QT延長や徐脈・頻脈を見逃さない
  • 血糖測定:低血糖による症状を見逃さない
  • 聴診: 心雑音、頸動脈雑音などの循環器的Red flag

“ふらつき”の背後に命に関わる病態があるかを、まず見極めましょう。

📌 一般的に「立ちくらみ」と表現される症状の多くは、このpresyncopeに含まれます。


🌩 Step 2:問診を極める(OPQRST+PAM HITS FOSS)

どんなタイプの“めまい”なのか、問診でしっかり見極めましょう。

🎯 OPQRST

  • O: Onset(いつから):急に?徐々に?
  • P: Provocation/Palliation(何が誘因?何で改善?):寝返り?立ち上がり?
  • Q: Quality(どんな感じ?):ふわふわ?ぐるぐる?気が遠くなる?
  • R: Radiation(放散):しびれ・脱力を伴う?
  • S: Severity(重症度):どれくらい辛い?
  • T: Time course(時間経過):発作性?持続性?

🧾 PAM HITS FOSS

  • Previous episodes and PMH: 過去のめまい歴、脳梗塞や心疾患の既往
  • Allergy: 特定薬剤でめまいが起きたことは?
  • Medications and supplements: 降圧薬、精神科薬、抗不整脈薬、健康食品など
  • Hospitalization: 最近の入院や処置歴
  • Injury: 最近の転倒、打撲
  • Trauma: 特に頭部外傷歴
  • Surgery: 内耳や脳の手術歴
  • Family history: 心疾患や突然死、片頭痛の家族歴
  • OBGYN: 閉経やホルモン変動との関連
  • Sexual history: STDsやHIVリスク評価
  • Social history: 飲酒、喫煙、職業上の姿勢やストレス因子

🚩Step 3:Red Flagsを見抜く

ここからは、見逃すと危険な「Red flag」症状について確認します。

  • 意識消失や転倒を伴った
  • 言語障害、複視、顔面・四肢のしびれや麻痺
  • 持続する激しい頭痛や嘔吐
  • 発熱、頸部硬直、感染症のリスク

➡ これらがあれば中枢性疾患(脳卒中、髄膜炎など)を最優先で評価!


✔Step 4:診察+導入症例を見直す

冒頭の60代女性の例に戻ってみましょう。バイタルは安定、意識も清明。
でも、“ふわふわして立ち上がるとふらつく”という訴えにはどんな含意があるでしょうか?

  • 眼振の有無: 外眼筋麻痺があれば中枢性を疑う。Dix-Hallpike法が陽性であればBPPVを強く示唆
  • 聴診: 頸動脈雑音、弁膜症の心雑音
  • 立ち上がり時の血圧/脈拍: 起立性低血圧の評価
  • 神経学的所見: 小脳系・錐体路系の異常がないか

→ ここまでで「前失神」や「中枢性病変」を否定できたら、ひとまず安心ですね。

📌 【診断の道すじ】まず「前失神」を除外 → 次に「中枢性」 vs 「末梢性」 → 問診と診察を合わせて絞り込みましょう。


📋 よくある原因一覧(整理用リスト)

  • BPPV(良性発作性頭位めまい症): 回転性めまい、Dix-Hallpike陽性、数秒~数十秒で軽快
  • 起立性低血圧: 立ち上がりでふらつく、血圧低下、薬剤性や脱水が背景に
  • 小脳梗塞: 急性の平衡障害、構音障害や失調、MRIで診断
  • メニエール病: 耳鳴り+難聴+回転性めまいの反復
  • 神経調節性失神(NMS): 起立保持困難や失神、体位変換や精神的ストレスが誘因

🎈 Step 5:よくある疾患とその伝え方・対応

▶ メニエール病

  • 特徴: 回転性めまい、耳鳴り、難聴がセットで繰り返す
  • ポイント: 発作時は安静第一、抗めまい薬や利尿薬も考慮
  • 説明のコツ:「内耳の中の圧が不安定になることで起きています。ストレスや睡眠不足も影響するので、生活習慣も一緒に見直しましょう。」

▶ 神経調節性失神(NMS)

  • 特徴: 立ちくらみ、長時間の起立、感情刺激で失神
  • ポイント: 生活指導、体位変換の工夫、脱水予防
  • 説明のコツ:「体の血圧調整が一時的にうまくいかなくなることで気を失いやすくなっています。すぐに治療が必要な病気ではありませんが、気をつけるだけでかなり防げますよ。」

💬 Clinical English

  • Dizziness:めまい
  • Lightheadedness:立ちくらみ
  • Vertigo:回転性めまい
  • Presyncope:前失神
  • Postural change:体位変化
  • Imbalance:平衡感覚の障害
  • Nystagmus:眼振
  • Drop attack:突然の転倒

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